今回のお題は、実際の経験を基に、近隣とのトラブルはいろいろな所に潜んでいますよって所を紹介したいと思います。

土地にも思わぬ落とし穴

住宅の依頼を受け、行政の指導を基に建物を設計しておりました。工事も順調に7割方がおわったころ、近隣より”3階建てを2階建てに変更して欲しいもしくは、屋根を切ってくれ!!眺望が悪くなった!!何とかしろ”との苦情が・・・・こちらとしてはもちろん建築基準法に基づいた建物を設計していたので、何も問題はないはずでしたが、この土地は昔、眺望良好を売りに分譲された地域であったようで今回のトラブルは、その眺望を侵害したという事が原因となりました。
今回はお互いが譲り合う形で、解決しました。
土地選びまたは計画の段階で、不動産同業者及び近隣に詳しい設計者と充分に話し合って長い目で土地について検討してみることも必要ですね。

敷地境界線にも落とし穴

住宅を設計する上で、土地の形状というのは大切です。その際、法務局より取り寄せた”公図”を基にお話をされる方がありますが、この公図という物は区画や地番を明らかにする為の物であり、敷地形状の正確さは不十分といえる図面であります。
相談の中には、公図を基に敷地境界を越えて壁を造ってしまったり、のり面を埋め立てて敷地として利用していたりと、後日近隣とのトラブルの基になりかねません。
こういった場合、法務局に問い合わせても何の解決にもなりません。
解決方法としては、
■実際の境界をはっきりさせて造り直す
■近隣との話し合い・立ち会いを基に境界線を引き直し、はっきりさせる方法
があります。
どちらにしても平和解決とは行かないのが実際だとおもいますが・・・・・・・
問い合わせ先としては、測量事務所・登記事務所に相談・一任するのが良いかと思われます。
しっかりした土地の形状など知りたい場合は、”17条地図”もしくは”地積測量図”という物があります。参考までに
※すべての土地について17条地図が備わっているわけではありません。

建物同士の距離って?

市街地等でよく見かける光景として、建物が引っ付き合うように建っているのを見かけた事があると思います。建物同士の距離によって採光などの面で、トラブルの原因となる場合もありますが、民法234条では敷地境界線から50センチ以上建物を離すとあります。
この法律実は明治29年に制定された物であり、基として汲み取りの為の通路確保と言われています。
しかし、現在では公共配管なども整備され、通路としての役割も薄れています。まして隙間が犯罪や事故の原因につながる事も少なくなく、自治体においては近隣との隙間をなくし道路側(パブリックスペース)を広く取るように指導している所もあります。
プライバシーの問題が重要となりますので、近隣同士の話し合いの上、建物の位置を決定することが必要となります。